GAFAに対する国際課税と新しい税戦争

 フランスが新しくデジタルサービス税、という税を導入した。フランス国内での一定規模以上のIT売上に対して3%を課税する。最近ニュースになっているのは、これに対して米国が報復関税を検討している、ということだ。


 IT企業に対して新しい国際課税ルールをつくろう、と今年のG20で合意をしていたが、具体案はこれから、というところでフランスの独自課税に米国が反発している。


 これまで、法人の利益に対する課税は、その法人がどこに拠点をおいて商売をやっているか、が重視されてきた。そのためフランスに拠点をおいていない法人は、フランスの消費者からどれだけ儲けてもフランスには納税しない。これは基本的にどの国においてもそうで、日本でもそうだ。

 そうすると、国外の法人が自国の消費者から利益を得ていても、拠点が国内に無いため、その利益に対して課税をすることができない。そもそも拠点が無い国で利益をあげる、ということが想定されていなかった。インターネット普及以前は、商売をするには、商売をする国に拠点をおく必要があり、それもで問題なかった


 それが今は、どこに拠点があっても、世界を相手に商売をすることができるようになった。


 GAFAのようなIT大手が拠点をおく米国は今の国際税制で不満はないかもしれないが、利益だけとられてしまうその他の国にとっては税収確保のための死活問題となる。米国も、タックスヘイブン等にIT企業が拠点をおいて利益を流していることは問題視しているが、相談無く自国企業から税を徴収するのはだめだ、ということだろう。


 国際課税の新しいルールが整備されるのが一番だが、まだまだ時間がかかりそうだ。日本は米国との関係上このようなデジタルサービス税導入は難しいのかもしれないが、新しい時代の税戦争に取り残されてしまってもいけない。日本に拠点をおく法人のために、日本の消費者から利益を得ている海外企業からもなんとか税を徴収できるようにすすめてほしい。

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