キャッシュレス決済が中小企業の資金繰り圧迫、と日経新聞が報じています
日本経済新聞がキャッシュレス決済が中小企業の資金繰りを一部圧迫している、と報じています。
売上を現金で受け取る場合には即日全額資金繰りにまわすことができます。しかし、キャッシュレス決済の場合、通常はまとめて一月に二回程度のペースでの入金です。提携銀行等をつかえば翌日に入金される等もありますが、現金に比べると入金サイクルが遅くなるのは間違いありません。
そんなことから一部中小企業の資金繰りがキャッシュレス決済推進によって圧迫されている、といっているわけです。
中小企業ではまだまだ現金決済を前提とした値付けが多いはずです。そのため、キャッシュレス決済導入によるコストに耐えらず資金繰りを圧迫している、ということになっています。
キャッシュレス決済によるコストは入金が遅くなる、ということの他にも決済手数料や売上金の振込手数料等様々です。これまでキャッシュレスを導入していなかった企業は当然そのコストはありませんでしたし、導入していてもあまり利用されていなければそのコスト自体は無視できる程度しかなかったかもしれません。そのため現金決済を前提として値付けをしている中小企業が多かった、ということです。
しかし今後、キャッシュレス決済がスタンダード、という世の中になるのであれば値付けもキャッシュレス決済のコストを含んだ値付けに徐々にシフトしていくことなるはずです。
キャッシュレス決済の手数料を消費者にもたせる、つまりキャッシュレス決済で買いたいなら割増料金を払ってくれ、ということはできないことになっています。そのため、現金支払いの人も含めてこれまでより少し高い金額で請求し、キャッシュレス決済のコストを回収するようにしないとあわなくなる、ということですね。
キャッシュレスを導入するしないはその企業の判断だから、というのは確かにそうなのですが、消費税増税の際にキャッシュレスについては強烈に補助をして導入、利用推進されています。その補助によって、消費者がキャッシュレス非対応の店は避けるようになってしまい、導入したくない、という店舗でも導入せざるをえないような状況にある、といえます。
国としてキャッシュレス推進に今回大きく舵をとったわけです。キャッシュレスの恩恵を皆が受け続けるためにはキャッシュレス維持のコストについても皆でもっていかなくてはならない、ということになるでしょう。