商品券、買っただけで経費とはなりません。期末にまとめ買いはやめましょう。

利益が予想以上にでているかなんとかしたい、という会社が期末に商品券を大量に購入したとします。
これは全額必要経費(損金)として認められるでしょうか。

大丈夫ですよ、といいたいところですが認められません。

商品券は金券・買っただけでは経費になりません

何故か、商品券は金券であり、その購入自体には何の経費性もありません。現金が「商品券」という金券にかわっただけです。
この商品券を使って何かを購入したときには消耗品費等で経費になります。
そして、商品券の購入目的といえば基本的にはこちらでしょうが、誰かに配った際には接待交際費として経費になる、ということです。

期末に大量に商品券を購入されていたとしてもそれを全て買ってきた日にばらまいてしまった、というのであれば確かにその日の経費です。
しかし、そうではなく手元に残していた、という場合には現金が金券にかわっただけ、ということになるので経費にはならないんですね。

商品券の大量購入は帳簿上とても目立ちます

期末に商品券を大量購入されていた場合非常に目立ちます。
税務調査では必ず指摘されますのでばれないだろう、などと思わない方がいいです。

実際、期末に大量購入した商品券が経費となるかどうかで裁判となった事例もあります。

期末に購入した商品券が必要経費なるか、が裁判となった事例

東京地裁平成27年9月9日判決です。

この事案では、3月決算の会社が200万円分の商品券を3月14日に購入し、全額交際費として必要経費に計上していました。
その後税務調査で税務署から商品券の配布先等について説明や資料の提出を求められたのに会社側は応じなかったため全額必要費参入不可、として課税されてしまいました。

課税されてしまった会社は商品券は取引先等に配布したから必要経費だ、として訴えたという流れです。

裁判所では、
 配付先等についての資料を調査の段階では課税庁に対し全く提示しなかったこと
 会社の主張が二転三転していること
 会社が商品券を配付したと主張した相手には同時に別の関連の者からも商品券が交付されていたこと
などから商品券の使途についての主張を裏付ける証拠がなく使途不明と判断されてしまいました。

その結果、裁判でも結局全額必要経費損金不算入という厳しい判断となりました。

商品券はその使途や交付先を記録しよう

交際目的で商品券を配付するということはよくあることですが、商品券を購入したという領収証だけではその商品券をどうしたのかまではわかりません。
交際目的で配付したのか、それ以外の用途で使用したのか、購入しただけで、まだ所持しているという場合もあります。
通常であれば、商品券配付先の記録が残っていなかったとしても、交際目的である以上、広く一般に配布するわけではなく、配布先は特定でき、聞き取りを行えば商品券が実際に渡されたのかどうかは簡単にわかるでしょう。
上にあげた事例では証言が二転三転したため全額ダメ、という厳しい判断でした。

商品券は購入しただけで交際費となるのではなく、購入した商品券を事業関係者に贈与してはじめて交際費となります。
商品券のような金券は、横流しや換金もできることから、調査や裁判等に対応できるよう、その配付先や使途を明確な記録を残すことを心がける必要があるということですね。

現金同等物ですからどこにいったのか管理するのは当たり前、といわれればそうかもわかりませんが中々中小企業では難しいものです。
使途や交付先を記録する習慣をつけるようにしておきたいですね。

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