現金手渡しのバイトは扶養と関係ない?そんなことはないです
前期は所得税について講義をしています。
学生さんには毎回アンケートを書いてもらって、その中に自由に質問もかいてもらうのですが、毎年春に決まってある質問に
現金手渡しのバイトは扶養に関係とききましたが本当ですか?
というものがあります。
中にはもっと進んでいて、現金手渡しは扶養に関係ないですが何故ですか?というきき方をされることも。
現金手渡しは扶養と関係なしって本当?
大学生の間では先輩から、現金手渡しバイトであれば扶養に関係ないから稼げる、という話があるということでしょうね。
本当なの?というと当然そんなことはなく、現金手渡しであっても振込であっても関係なく収入となりますから親の扶養に入れるかどうかに関係ありです。
アルバイトなら年間103万円までなら親の扶養に入ることができます。
手渡しバイトと振込バイトの両方やっている場合にはその収入を合計して103万円までならOKです。
現金手渡しだからといって特別に扶養とは関係なしに稼げる、ということはありません。
なぜ現金手渡しはOKという噂がたつのか
じゃあなんで現金手渡しはOK、という噂が大学生の間でひろまっているのか。
実は給与を支払った会社や事業主は、給与を誰にいくら支払ったという情報を区役所や市役所に報告しなければなりません。
役所はこの報告等をもとに扶養の対象かどうかを判断しています。
現金手渡しならOKという噂がたつのは、現金手渡しでバイト代を支払っているところはこの報告もやってないところが多い、ということでしょう。
うちは報告しないから103万円超えても大丈夫だよ、なんていってバイトを募集している悪いところもあるのでしょう。
報告されない収入は役所も把握できませんから。
そういった悪い大人の悪い情報が噂の元なのだろうと想像します。
ただ給与支払報告は義務ですし、税務的にはブラックなバイト先ですね。
扶養から外れた場合の負担はどれくらい?
手渡しバイトだから大丈夫、と思っていてもバレることはあります。
そもそも現金手渡しでもバイト先がちゃんとしていれば報告書は提出しているはずですし。
扶養から外れてしまうと自分の税負担は勤労学生控除もあってそれほどでもないですが親の負担はけっこうです。
大学生(19歳以上23歳未満)を扶養している親は扶養控除で所得から63万円ひけます。
税率2割の場合で126,000円もの節税ですから大きいですね。
103万円を超え、扶養から外れてしまうとこれだけ税が増えます。
これは所得税だけで、住民税もあわせると171,000円の負担増です。
現金でも振込でもかわらない、自分でちゃんと把握
現金は把握されにくい、ということは確かですが把握できない、ということではないです。
現金でも振込で給与であればかわりません。
自分がいくら稼いだのかは自分でちゃんと把握するようにしましょう。
国もお金の流れをもっと把握したいから、なるべく現金ではなくキャッシュレスで、とすすめている面もあるでしょう。
電子マネーでの給与支払いも解禁の方向のようですし。
現金支払いなんて怪しい、とかえって税務署から目をつけられるという日がすぐそこまで迫っているかもです。