お財布を拾ったら・拾ったお金にも落とし主からのお礼にも税金かかります。
お財布を落としたことってありますか。
私はあります。
羽田空港で財布を落とした話
沖縄出張のときの話です。
羽田空港でセキュリティゲートを通る間際に落としたことに気づき、色々探しましたが見つかりません。
落とし物センターにもまだ届いていませんでした。
一緒に出張へ行くはずの先輩も現れず軽くパニックです。
幸い飛行機のチケットは別に持っていたため腹をくくり、一文無し免許も無し、の状態で一人で飛行機に乗りました。
一緒に出張するはずだった先輩は結局で現れず、一人で震えながら飛行機に乗ったことをおぼえています。
出張先の空港へついたらお客様に電話して事情を話すしかないか・・・などと考えているうちに到着しました。
かなり肝を冷やしましたが幸い大きなトラブルにはなりませんでした。
まず那覇空港に着いたらすぐ羽田空港落とし物センターへ電話しました。
すると財布がとどいている、ということ。まずはお財布問題クリアです。
そして遅刻した先輩も次の便で飛んでくる、といのこと。
なんとかお客様にお金を借りる、なんていう恥ずかしいこともなく無事におわりました。
出張から帰り羽田空港落とし物センターで財布を受け取りました。
拾って下さった方はお礼を固持されたようで特に連絡先等は残されていませんでした。
拾われた財布はどこへ行く?
私の場合は羽田空港で落としたので落とし物センターでしたが、通常はお財布を拾ったら交番ですね。
交番へとどけられた財布はどうなるか、というと東京都の場合次の三パターンです。
警視庁・落とし物はどこへ行くの?より
① 遺失届と拾得物を照合・検索し合致するものがあれば落とした人に返却
② 3か月過ぎても落とした人が分からない場合や、落とした人が取りに来なかった場合には、拾った人のものに
③ 拾った人がその権利を放棄しているときは、東京都のもの
拾った人が、いらない、といった場合には自治体のモノになるんですね。
ここで税金が関係するのは①、②の場合です。
①の場合拾った人は、落とした物の価格の5%以上20%以下に相当する額を落とし主からお礼として受け取ることができます。
このお礼を受け取るとお礼に税金が、ということです。
所得税は特別に非課税とする決まりがない限り、経済的に得したらなんでも課税、という恐ろしい税ですから。
拾ったお金もお礼も一時所得
税金が関係する、と書きましたが本当に所得税がかかるような場合は希です。
落とし主が現れず拾ったモノが自分のモノになった場合も、落とし主からお礼を受け取った場合も、一時所得というものになるためです。
一時所得は何か、ですが国税庁HPタックスアンサーでは次のように説明されています。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
(1) 懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
(2) 競馬や競輪の払戻金
(3) 生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
(4) 法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものは除きます。)
(5) 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
要するに棚ぼた的な所得で、たまたま儲かったようなモノ、が一時所得に該当します。
10万円入った財布拾っちゃった。
ちゃんと交番にとどけたけど、落とし主がでてこなかったらか10万円もらえた。
正に棚ぼた的な収入ですね。
なお、(5)にあるように落とし主が現れてお礼をもらった場合にも一時所得です。
一時所得の金額は、次のように算式します。
総収入金額ー収入を得るために支出した金額ー特別控除額(最高50万円)
特別控除額が50万円あるため、年間50万円までは課税されません。
例えば10万円拾った場合には
10万円ー50万円=-40万円
で、課税はされません。
いくら拾ったら税がかかるのか
ではいくら拾ったら税がかかるのかですが、50万円が一つの基準です。
50万円拾って自分のモノになった場合は特別控除と相殺されて一時所得は0円となるので税はかかりません。
しかし、51万円拾って自分のモノになったのであれば51万円-50万円=1万円となるため申告が必要です。
落とし主が現れてお礼をもらう場合、仮に10%のお礼をもらえるとすると、
500万円拾ったら50万円のお礼で、税はかかりません。
510万円拾ったら51万円のお礼となって、申告が必要です。
いずれにしても、所得税がかかるには最低50万円超拾ってくる必要があります。
そんな大金を拾うことは恐らく生涯ないでしょうから、結局税の心配はほぼ無用、です。
お金を拾うと税金がかかる、というのは実務ではほぼ無視できる雑学的な豆知識、ですね。
お金も拾って競馬も当たって、というラッキーな人は
一時所得の例に競馬の払戻金があげられています。
競馬については場合によっては一時所得ではない時もありますが、趣味で予想して楽しんでいる、というレベルの場合は一時所得と考えて大丈夫です。
競馬の払戻金も棚ぼた的なものでしょ、というのが税務の基本的な考え方です。
所得税は同じカテゴリーの収入は合算して所得の計算をします。
例えば、アルバイトの掛け持ちをしている場合には、二カ所のアルバイト収入を合算して所得税計算です。
扶養の判定の場合は、二カ所のアルバイト収入合計が103万円以下かどうかで扶養に入れるかどうかの判定となります。
拾ったお金も、競馬の払戻金も、同じカテゴリー、一時所得です。
そのため同じ年に、30万円拾って、競馬でも30万円儲かって、という場合には合計する必要があります。
それぞれ50万円以下だから課税無し、とはなりません。
(30万円+30万円)ー50万円で10万円が一時所得となります。
こんなにラッキー?な人はそうそういないでしょうが、所得税は1年間の収入を合計して計算します。
落とし物や競馬に限らず思わぬ収入が漏れていて後日課税、ということにもなりかねませんから気をつけましょう。