家賃支援給付金・貸し主との関係によっては対象外
家賃支援給付金の申請が今日から始まっています。
持続化給付金につづくかなり大規模な中小企業支援です。
ただ、持続化給付金ほど売上が下がっていれば誰でも、というわけではなく、意外と縛りがあり、審査にも時間がかかりそうだ、とのこと。
その縛りの内の一つとして、社長から社屋や事務所を借りている場合は対象外、と先日書きました。
このとき参考した申請要領には「詳細は給付規定をご覧ください」とありましたが、給付規定はなかなか発表されませんでした。
その給付規定が今日やっと発表されましたでの改めてまとめておきます。
中小法人等の場合・給付対象外となる貸し主との関係
まず、中小法人等の場合、給付金申請者と貸し主との関係が次のどれかの場合は対象外、と給付規定には規定されています。
3 第1項の規定により基準額を算定する場合において、賃貸人その他の申請者に対して土地又は建物を使用
家賃支援給付金給付規程(中小法人等向け)より
及び収益させる義務を負う者(以下「賃貸人等」という。)と、申請者との関係が次の各号のいずれかである
場合には、当該土地又は建物に係る賃料等は含めないこととする。
一 賃貸人等が、申請者の代表取締役又は申請者と同じ者を代表取締役とする会社であるもの
二 賃貸人等が申請者の親会社等(会社法(平成17年法律第86号)第2条第4号の2に規定する親会社等(自然人を含む。次号において同じ。)をいう。)又は子会社等(会社法第2条第3号の2に規定する子会社等をいう。)であるもの
三 賃貸人等が、申請者の代表取締役若しくは親会社等である自然人の配偶者若しくは一親等内の血族若しくは姻族又は当該配偶者若しくは一親等内の血族若しくは姻族を代表取締役若しくは親会社等とする法人であるもの
四 前各号に規定する関係に類するものその他給付金の趣旨・目的に照らして適当でないと長官が判断するもの
ちょっとわかりにくいですが、分解するとこんな感じです。
一 貸し主が
給付金を申請する会社の代表取締役
給付金を申請する会社の代表取締役が代表取締役である別の会社
二 貸し主が
給付金を申請する会社の親会社等
→ この親会社等には経営支配者である個人を含みます
給付金を申請する会社の子会社等
三 貸し主が
給付金を申請する会社の代表取締役か経営支配者の
配偶者
一親等内の血族、姻族
これらの者が代表取締役である会社
これらの者が経営を支配している会社
四 これらに加え、長官が不適当と判断する場合
親会社等とは会社法の表現で経営支配者である個人も含まれます。
細かい定義は省きますが、本人や本人に近しい人等で議決権の5割超を確保している場合には該当します。
中小企業のオーナー一族であれば当然経営支配者であるわけで、基本的にこの親会社等に該当するでしょう。
そうすると、やはり役員や役員周辺者に支払っている賃料は基本的に家賃支援給付金の支給対象外、ということです。
一から三だけでも相当広い範囲をカバーしていますが、さらに四で長官が不適当と判断する場合もだめ、としています。
この点から、親会社等にあてはまるのか等の慎重な判断も必要ですが、趣旨から考えて適当といえるかどうかも重要でしょう。
ただ、賃貸契約書等の確認だけではこの要件をクリアしているかどうか判断しようがない、ですね。
実際問題としてどこまで調査するんでしょうか。
個人事業主の場合
個人事業主の場合、給付金申請者と貸し主との関係が次のどれかの場合は対象外、と給付規定には規定されています。
3 第1項の規定により基準額を算定する場合において、賃貸人その他の申請者に対して土地又は建物を使用及び収益させる義務を負う者(以下「賃貸人等」という。)と、申請者との関係が次の各号のいずれかである場合には、当該土地又は建物に係る賃料等は含めないこととする。
家賃支援給付金給付規程(個人事業者等向け)より
一 申請者が賃貸人等の代表取締役又は親会社等(会社法(平成17年法律第86号)第2条第4号の2に規定する親会社等をいい、自然人であるものに限る。)であるもの
二 賃貸人等が申請者の配偶者若しくは一親等内の血族若しくは姻族又は当該配偶者若しくは一親等内の血族若しくは姻族を代表取締役又は親会社等とする法人であるもの
三 前各号に規定する関係に類するものその他給付金の趣旨・目的に照らして適当でないと長官が判断するもの
中小法人等のように分解してみるとこんな感じです。
一 給付金を申請する個人事業主が貸し主の代表取締役又は実質的な経営支配者
二 貸し主が
給付金を申請する個人事業主の
配偶者、一親等内の血族若しくは姻族
これらの人間が代表取締役又は実質的な経営支配者である会社
三 これらに加え、長官が不適当と判断する場合
個人事業主の場合も相当広い範囲が除外されています。
さらに長官が不適当と判断するものもダメとされているのも同様です。
兄弟から借りているのであれば二親等になり、二の定義から外れます。
個人事業主の場合は二親等以上離れた人から借りている場合には大丈夫そうです。
長官が不適当判断しないかは気になりますけども。
また貸し主が、兄弟が経営している法人、となると経営支配の問題が生じるため別途判断が必要です。
まとめ
家賃支援給付金、大規模な支援策で対象となるかどうかは大問題です。
中小企業の場合、オーナー一族に支払っている賃料は基本的に対象外となります。
法人でローンをくんで社屋を購入している場合は給付対象外、であることと整合性をとるためなのでしょう。
特殊関係者からの賃貸かどうかをどのようにして、どこまで調べるのか、というのも気になります。
一旦は支給されても後日ダメ、という判断もあるかもです。
持続化給付金でも支給が早い事業者と遅い事業者で相当の差がありました。
家賃支援給付金は支給要件がより複雑ですから時間がかかることが予想されていますが、できるだけ早期の支給を期待したいです。