10年返済不要?資本制ローンのメリット・デメリット

 資本制ローンといわれている長期間元本返済不要の「融資制度」があります。

 日本政策金融公庫は「挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)」という名称で取り扱いを行っています。10年間返済不要の融資がある、と資金調達コンサルタント等はDMをだしたりしているようです。


 DMだけみていると胡散臭く感じてしまうかもしれませんが、ちゃんとした制度融資の一つです。5年1カ月から15年の間元本返済不要で期限一括返済、利息は毎月払となっています。


 この制度融資には一定期間の元本返済不要をはじめ次のようなメリットがあります。


資本制ローンのメリット
  ・一定期間元本返済不要のため資金繰り改善
  ・無担保無保証
  ・借入金が金融検査上、自己資本とみなされる。
  ・自己資本とみなされるが、持ち株比率は変更なし
  ・業績が悪い間は金利が低い


 資金繰り改善、というのが一番のメリットです。さらに事業が軌道に乗るまでの間は低利ですみます。
 また、誰かから出資を受けてしまうと返済は不要ですが創業メンバーの持ち株が薄まってしまいます。まとまったしばらく返済不要のお金、しかも創業メンバーの持ち分を希薄化させない、という意味ではとても助かるものとなるでしょう。


 ただし、当然デメリットもあります。
 
資本制ローンのデメリット
① 審査が厳しい
 長期間返済不要という融資ですから審査は厳しくなっています。また実際の件数もかなり少なく、審査にも時間がかかります。この制度で融資を受けたい、という場合には素早く計画的に動く、ということが大事です。

② 四半期ごとに事業報告書の提出が求められる
 晴れて融資を受けられた後も四半期ごとに事業報告書の作成、提出が求められます。その分手間も増えるわけですが、この報告書作成を外注する場合には手数料負担も生じます。

③ 業績があがると金利が高くなる
 通常の融資では業績がいいほどいい条件で借りることができます。業績がいいほど金利が低くなるはずなのです。しかし、この制度による融資は逆に業績があがると金利が高くなります。
  しかも、超低金利である今、最高で6.2%です。利益はなるべく早くあげたいわけですが、あまり早く利益がでるようになってしまうとずっと高い金利を支払い続けることとなってしまいます。

④ 期日一括返済が原則、期日前返済は不可
 金利が高いなら利益がでたらすぐに返済してしまえ、と思わわれるかもしれません。しかし、それはできないことになっています。期日前返済は不可のため、利益がでている間は高い金利を支払い続けることとなります。

 このようにメリットありますが多くのデメリットもあります。金利負担リスクが一番のデメリットでしょう。10年間元本返済不要、というメリットの裏返しに、10年間利息を支払い続けなければならない、しかも利益が上がると利率が高くなる、ということです。

 メリットだけをみて飛びつくことなく、デメリットまで考慮してそれでも融資を受けるメリットがある、と判断するときには、制度をうまく活用しましょう。

 この制度融資には経営革新等認定支援機関の協力が必要です。私も認定支援機関ですからもし気になる方はお問い合わせください。



 

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