コロナ関連・役員給与減額してもいい?減額後にコロナが落ち着いたら戻してもいい?

コロナウイルス感染防止の関係で営業を短縮や自粛されている方、営業は続けていても売上大幅減が見込まれる方、様々です。

従業員の給与についてはすぐに減額はできませんが、雇用調整助成金等で一定の補助はされています。

従業員給与は難しいけど、役員給与は減額したい

では役員の給与はどうでしょうか。

役員給与も減額して社会保険料の負担等を下げたいところですが、なかなかそうはいきません。

それはなぜか。

役員給与は定期同額給与、といいまして、一年間同じ金額で定期に支給しないと税金計算上は経費とは認めない、というとても厳しい決まりがあるからです。利益調整を嫌うために設けられた決まりですが、あんまりだと思っています。

ただ、どう思っていても現実としてこの決まりがある以上簡単には減額できません。減額した分が会社の経費にはならず、それでも既にもらった個人側では給与として課税される、という厳しいモノだからです。

通常、減額が認められるのは、やむを得ず減額せざるを得ない事情(業績悪化改定事由)がある場合です。
この業績悪化改定事由、かなり厳格なもので、ちょっと業績不振だからというだけの理由では、認められません。
それだけ定期同額給与の規定は厳しいモノなんですね。

コロナウイルスの影響による減額はどう考えるか

では、今回のコロナウイルスの影響下ではどう考えられるのか。国税庁がだしているQAに記載がありました。

「業績が悪化した場合に行う役員給与の減額」と「業績の悪化が見込まれるために行う役員給与の減額」と2つのケースをあげています。

「業績が悪化した場合」では、イベント会社が全イベントキャンセルにより業績が悪化した、というケースをあげています。

問 6.《業績が悪化した場合に行う役員給与の減額》
 当社は、各種イベントの開催を請け負う事業を行っていますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、イベント等の開催中止の要請があったことで、今後、数か月間先まで開催を予定していた全てのイベントがキャンセルとなりました。

 その結果、予定していた収入が無くなり、毎月の家賃や従業員の給与等の支払いも困難な状況であることから、当社では、役員給与の減額を行うこととしました。
 法人税の取扱いでは、年度の中途で役員給与を減額した場合、定期同額給与に該当せず、損金算入が認められないケースもあると聞いています。
 そこで、当社のような事情によって役員給与を減額した場合、その役員給与は定期同額給与に該当するでしょうか。

さすがにこの場合では業績悪化改定事由による改定に該当する、とされています。

「業績の悪化が見込まれる」では、観光客減少により売上減が見込まれる、というケースをあげています。

問 7.《業績の悪化が見込まれるために行う役員給与の減額》
 当社は、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国からの入国制限や外出自粛要請が行われたことで、主要な売上先である観光客等が減少しています。そのため、当面の間は、これまでのような売上げが見込めないことから、営業時間の短縮や従業員の出勤調整といった事業活動を縮小する対策を講じています。
 また、いつになれば、観光客等が元通りに回復するのかの見通しも立っておらず、今後、売上げが更に減少する可能性もあるため、更なる経費削減等の経営改善を図る必要が生じています。一方で、当社の従業員の雇用や給与を維持するため、急激なコストカットも困難であることから、当社の経営判断として、まずは役員給与の減額を行うことを検討しています。
 しかしながら、法人税の取扱上、年度の中途で役員給与を減額した場合にその損金算入が認められるのは、経営が著しく悪化したことなど、やむを得ず減額せざるを得ない事情(業績悪化改定事由)がある場合に限られると聞いています。
 そこで、当社のような理由による役員給与の減額改定は、業績悪化改定事由による改定に該当するのでしょうか。

この場合でも、現状数値的指標が著し悪化していなくても、コロナウイルス感染拡大が防止されない限り観光客減少は見込めず、客観的に今後の経営状況が著しく悪化することが不可避と考えられる、として業績悪化改定事由による改定に該当する、としています。

この二つの事例であげられているよう業種は特に大きな影響を受ける業種です。イベント業や観光産業については大きな影響が長く続くと思われ減額が認められるでしょう。

問題は、ここにあげられていない短期の休業等でも業績悪化として減額が認められるか、です。

上記二つの事例をみる限りでは今のところ減額を認める厳しい要件を崩すつもりはなさそうです。
ただ、弾力的な取り扱いはされると思いますので資金繰りが苦しく役員給与を減額する、という場合にはその時点での展望等を記録に残し業績悪化改定事由に該当するという主張ができるようにしておきましょう。

期中に役員給与額をもどしても定期同額給与と認められるか

業績悪化のため役員給与を減額した後、幸いにもすぐにコロナウイルスの影響が落ち着き業績が戻ったとします。

その際、同一事業年度中に役員給与の額を戻しても定期同額給与と認められるのか、という問題があります。

結論、これは認められないでしょう。

定期同額給与の改定事由としては業績悪化改定事由と臨時改定事由があります。

まず業績悪化改定事由についてです。
業績が戻ったため増額する、ということですから業績悪化改定事由には該当しないということは明らかです。

次に臨時改定事由についてです。
臨時改定事由は、「役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情」によりされた定期給与の額の改定とされています。
組織再編や分掌変更があった場合に該当するもので、コロナが落ち着いて業績が戻った、というだけではこれにも該当しないでしょう。

このように、現行の役員給与制度ではコロナの影響で臨時に役員給与を減額する、ということは認められる余地がありますが、同一事業年度中に額を戻す、ということは認められません。また、翌事業年度以降であっても期中の増額は同様の理由で難しい、ということです。

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