奨学金と所得税

日本の所得税法では経済的に得したら何でも課税対象、とされています。
そして特別に課税しませんよ、というものを非課税規定で指定しています。

非課税となる収入の代表的なものでいえば宝くじですね。
宝くじは3億円当たっても全く所得税がかかりません。
3億円所得だと所得税率45%ですから、課税されるとされないとでは物凄い差ですね。

こんな話を講義でしていると必ずでる質問が、奨学金は税金かかるのか、です。
そこで奨学金の課税問題についてまとめてみました。

貸与型奨学金について

奨学金にもいろいろありますが、一番多いのは貸与型の奨学金でしょう。
貸与型の奨学金は文字通りお金を貸してくれている、ということです。
奨学金を受ける学生からみたら「借金」なわけです。

借金は収入ではなく負債です。所得ではないため所得税はかかりません。

この説明をすると、奨学金を返す時になにか控除ありますか、という質問もよくあります。
残念ながら、借金を返す、というだけですから、返済時も所得控除等はありません。

貸与型の奨学金は奨学金、という名前はついていますが税金の世界では借金と特に扱いは変わりません。

給付型奨学金について

奨学金にはもう一つ、給付型奨学金というものがあります。
こちらは借金ではなく給付ですから、学費にあてるためのお金をもらうことになります。

そうすると所得税がかかりそうですが、この給付型奨学金は非課税とされています。

所得税法第9条第1項第15号に、学資に充てるため給付される金品は一定のものを除き非課税、と規定されているのです。

そのため、給付型奨学金は所得税かかりませんので安心して給付を受けましょう。

貸与型から給付型への移行・債務免除を受けた場合

大学入学時には貸与型奨学金を受けていた人が途中で奨学金支給元が貸与型から給付型に移行。
それまでに借りた貸与型奨学金の返済も免除された、という場合はどう考えるべきでしょうか。

例 大学2年生まで月額5万円の貸与型奨学金
  大学3年4月に奨学金支給元が貸与型から給付型へ移行
  3年から月額5万円の給付型奨学金それに伴い、2年までの借入金(5万円×24か月)120万円が債務免除

借金の返済を免除された、ということはそれだけのお金をもらったと同じ事となります。
そのため、通常120万円の借金を免除された場合には120万円得したねと、贈与税や所得税の課税対象となります。

ただ、貸与型奨学金から給付型奨学金への移行に伴う貸与型奨学金の債務免除は、学資に充てるために給付されるものといえます。
そして免除される額も、もともと奨学金として借りていた金額です。
そのため、その額も学資金として相当と考えられるため、この120万円の債務免除も非課税となる学資金に該当すると考えられます。

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