23区長がふるさとの納税について緊急共同声明
東京23区の区長さん達が緊急共同声明をだされました。
新型コロナウイルスの影響で税収減が見込まれる中、ふるさと納税による減収は約424億円。
この6年で46倍にもなっていて看過できない、とのことです。
声明ではいくつか要望もだされています。
その内の一つに
『住民税控除額のうち、特例分の上限を所得割の「2割」から以前の「1割」に戻すとともに、控除額に上限を設けること』
というものがあります。
現在、住民税のだいたい2割がいわゆる「ふるさと納税枠」の上限となっています。
これは数年前までは1割でしたが倍になっています。
そして、このふるさと納税枠には上限がありません。
ふるさと納税の控除枠には上限なし
住民税で年間30万円納税している人は30万円の2割で6万円までしかふるさと納税の恩恵を受けることはできません。
しかし、住民税で年間1億円納税している方はざっくりいうと2,000万円までふるさと納税の恩恵を受けることができます。
10億円納税しているなら2億円です。
2億円ふるさと納税した場合、返礼品3割だとすると6,000万円分何かもらえることになります。
ただの寄附で応援したい自治体に寄付というかたちで納税できる、というもともとの趣旨の制度であればいいのですが、今は寄附と返礼品がセットなっていてたくさん寄附できる人ほど得できる、という制度になっています。
高額納税者ほど自己負担無しでたくさんふるさと納税できて、たくさん返礼品ももらえてお得、ということです。
ふるさと納税サイトをみてみると、寄付額100万円やら200万円やらといった返礼品もでています。
中には1,000万円を超えるものもありました。
そういった返礼品は数千万円以上住民税を納税している方向け、ということです。
23区内に住んでいる方は収入高い方が多いでしょうからふるさと納税もたくさんできる方が多いんでしょうね。
そういったこともあって緊急共同声明をださなければいけないような事態になってしまっているわけです。
高額納税者優遇をけしからんと思うか、高額納税者だからそれぐらいはいいと思うか、は考え方しだいです。
ですが、こういう制度になっている、ということは知っておくべきでしょう。
こういう制度だということがそもそも知られていもいないのでは、と思うわけです。
ふるさと納税についてはもっと議論があっていい
高額納税者優遇税制、というと世論が許さなさそうですが、ふるさと納税についてはその点についてはあまり報道等でも指摘されているのをみかけません。
お得な通販、的な盛り上がりをしてしまったふるさと納税。
テレビやらで紹介されて一気に広まりました。
しかしその制度の趣旨やお得と引き換えに地元自治体の税収が減ってしまうことなどはあまり広く知られたとはいえないのでは、と思います。
23区が緊急声明をだすくらい、ふるさと納税制度の目的の一つである都会から地方へお金を流す、ということは十分に達成できているともいえます。
ふるさと納税は楽しい制度ではありますが高額納税者優遇税制となっていることや、こういう税収減自治体もあるんだ、ということを多くの方が認識されてもう少し議論されるべきではあるでしょうね。
楽しい通販、ではなくあくまで税制ですから。