競馬で大勝ちすると税務署に書類が行くようになります。
いよいよ競馬で大勝ちすると税務署に払戻金の明細がまわるようになるみたいです。
共同通信・高額馬券、課税逃れを防止 ネット購入、1千万円以上対象
記事によると、インターネットで馬券などを購入し、1口当たり1千万円以上を受け取った人が対象、とのことです。現金で買って現金で払い戻しを受ける人はもれもれになるんでしょうか。
最近の競馬課税裁判・外れ馬券は経費か
最近の裁判になっていた事例は、外れ馬券が経費になるかどうか、が争点でした。
裁判以前は、税務署は外れ馬券は全く経費にならない、としていました。しかし、大量に馬券を購入してトータルでプラスになるように、という買い方をしている場合、外れ馬券を儲けからひかずに納税額を計算すると、トータルの儲けより納税金額が多くなってしまいます。それはおかしい、外れ馬券も経費だ、という裁判です。
結論、遊びではなく、「営利目的の継続的行為」といえるような場合は外れ馬券も経費とできる、と現時点ではされています。
市職員競馬脱税事件
競馬課税については最近多数の裁判例があります。多くは上記のような外れ馬券は経費かどうかが争点です。ただ、この1千万円以上の払戻金について情報を、というのは大阪高裁平成30年11月7日判決の「市職員競馬脱税事件」を想定してのことでしょう。
この事案は、ある市役所の税務課職員が平成24年と26年にWIN5を的中させ、合計で4億円以上の払戻金を手にした。しかし、所得税の申告義務があると認識しながら申告をしなかった。これが脱税として告発された、という事案です。
この事案は上記の外れ馬券事件とはちょっと毛色がちがいます。大量に馬券を買っていたわけではなく、数億円単位の万馬券を的中させての儲けでした。そういった意味では競馬愛好家の遊びとかわりません。
当時は払戻金について報告する、という制度はありませんでした。ではなぜこの4億円以上の払戻金がばれてしまったのか。別件調査中にたまたまこの人の口座への入金を国税区局の職員が発見し、告発まで発展した、という流れです。
競馬の払戻金は課税ですよ、としながら国税は数億円単位の払戻金について全く調査をしていなかったということです。この別件調査で発覚しなければ課税はされなかったかもしれません。
裁判の結論は、税務課職員でありながら脱税はけしからん、有罪、というものでした。この人は他の人は課税されていないのに、と主張しましたが認められませんでした。
詳しくは中央経済社税務弘報2018年8月号実務に役立つ判例研究で解説していますのでよかったら。
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もしかしたらこの事案をきっかけに国税も数億円単位の払戻金がある、ということに気づいてしまった、ということなのか、今後は1千万円以上の払戻金を受ける場合には確実に把握されるようになります。申告をしなくても数年後には税務署から連絡があるでしょう。
ギャンブルに課税は必要か
外れ馬券がどうとか、1千万円以上がどうとか、なんてくだらないことをいうよりも、公営ギャンブルの国の取り分を少しあげて課税しません、としてしまった方がよっぽどすっきりしますし、徴税コストもかかりません。カジノ解禁と同時に公営ギャンブルは課税しない、と舵をきってくれないかなと思っていますが、このニュースをみるかぎり、どうしても課税したいみたいですね。